厄除けと方位除けの違いについて、専門家の住職が解説

水野行清

厄除けと方位除けは、いずれも日本の伝統的な信仰に基づいた儀式であり、災難や不運を避けるために行われます。

しかし、それぞれの目的や方法には違いがあります。ここでは、厄除けと方位除けの違いについて詳しく解説します。

目次

厄除け(やくよけ)とは

目的

厄除けは、特定の年齢に訪れるとされる「厄年」に、災いを避けるために行う儀式です。

厄年は、人の一生の中で特に不運や災難が起こりやすいとされる年齢のことを指します。

日本では、男性と女性でそれぞれ厄年が異なり、以下の年齢が一般的に「厄年」とされています。

  • 男性の厄年:25歳、42歳、61歳
  • 女性の厄年:19歳、33歳、37歳

特に、男性の42歳と女性の33歳は「大厄」と呼ばれ、最も注意が必要とされる年齢です。

厄除けは、これらの厄年に災難を避け、健康や幸運を祈るために、神社や寺院で行う祈祷です。

方法

厄除けは、神社や寺院でのご祈祷が主な方法です。

祈祷を受けることで、神仏の力を借りて自分に降りかかるかもしれない不運や災難を払うことができます。

また、厄除けのお守りやお札を授与されることが多く、これを家に持ち帰って厄を遠ざけるために祀ることもあります。

期間

厄除けは通常、厄年の始まる前厄年の最中に行われます。

また、厄年を過ぎた後に「後厄」と呼ばれる年があり、この年にも厄除けを行うことで、完全に厄を祓うとされています。

方位除け(ほういよけ)とは

目的

方位除けは、移動や引っ越し、旅行などの際に、特定の方角に災いがあるとされる場合に、その影響を避けるために行う儀式です。

日本の伝統的な方位信仰(九星気学風水)に基づき、特定の年や日には特定の方角が「凶方位」とされ、その方位に向かって行動することで不運や災難を招くと考えられています。

方位除けは、その凶方位を避けたり、影響を軽減したりするために行います。

方法

方位除けは、神社や寺院での祈祷お札の授与によって行われます。

厄除けと同様に、方位除けのための祈祷を受け、その力で凶方位からの災いを祓います。

引っ越しや長期の旅行など、大きな移動を伴う場合には、事前に方位除けを行うことが推奨されます。

また、方位除けでは、特定の方角に向かって行動することを避けるだけでなく、悪い方位の影響を和らげるために、別の「吉方位」に移動してから目的地に向かうといった対処法もあります。

これを方位取りと呼び、吉方位にしばらく滞在して良い運気を取り入れることが推奨されます。

期間

方位除けは、特に移動や引っ越しを行う際に事前に行うべきものです。

凶方位が影響を与える期間は、九星気学の暦や風水の暦に基づいて決まります。

これらの暦は、毎年、月ごとに異なる方位を指定するため、引っ越しや旅行の計画を立てる際に、凶方位を避けることが重要です。

厄除けと方位除けの違い

比較項目厄除け方位除け
目的厄年に訪れる災難や不運を防ぐ凶方位に関する災いを防ぐ
対象特定の年齢(厄年)特定の方角、移動や引っ越しに関連
実施のタイミング厄年の前後、厄年中引っ越しや旅行などの移動時
方法神社や寺院でのご祈祷、お守りやお札の授与神社や寺院でのご祈祷、吉方位の利用
期間厄年および後厄の期間九星気学や風水による凶方位の期間

厄除けと方位除けの共通点

  • 祈祷を通じて災いを防ぐ:どちらの儀式も、神社や寺院で祈祷を行い、神仏の力を借りて災いを避けることを目的としています。
  • 神社や寺院での実施:厄除けも方位除けも、神社や寺院で正式に行われる儀式であり、特定の祈祷を受けることで効果を得るとされています。
  • 個人や家庭の守護:両方の儀式とも、個人や家庭を不運から守り、幸福な生活を送るためのサポートを目的としています。

まとめ

厄除けと方位除けは、それぞれ異なる場面での不運や災難を避けるための儀式です。

厄除けは、厄年に訪れるとされる不運を避けるために行われ、方位除けは、凶方位に関連する災いを避けるために行います。

どちらも神社や寺院での祈祷を通じて行われますが、厄年や凶方位に関連する時期や移動の際には、事前に適切な儀式を受けることで不運を避け、平穏な生活を送ることができます。

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